「汗の痒み」は皮膚のカビが原因?

「汗の痒み」は皮膚のカビが原因?

こんにちは。
アトピー研究家の齋藤です。

インターネットで検索をしていると「汗の痒みは皮膚に付着しているカビが原因」という記事をよく見かけます。
それでは、汗による痒みは、皮膚に付着している「カビ」が原因なのでしょうか?

このページでは「汗の痒みは皮膚のカビが原因?」というご質問にお答えしていきます。

広島大学の研究結果について

「汗による痒み」は皮膚に付着した「カビ」が原因という説があります。
これは、広島大学大学院の秀道広教授らの研究グループの発表が元になっています。

「Science Portal」の記事から引用します。

アトピー性皮膚炎の患者が汗によってかゆみなどのアレルギー反応を起こすのは、健康な人の皮膚にも存在するカビが出すタンパク質(MGL_1304)が汗に溶けて皮膚から体内に入り込むことが原因であることを、広島大学大学院の秀道広(ひで みちひろ)教授らの研究グループが突き止めた。このタンパク質を効率的に吸収または不活性化する製品を作ることで、アトピー性皮膚炎の新たな治療やスキンケア方法の開発に役立つことが期待されるという。

研究グループは、アトピー性皮膚炎患者の汗の中でも、特にアレルギー反応でかゆみの元となる物質「ヒスタミン」を大量に含んだ汗を調べ、タンパク質の一部であるアミノ酸の特有な配列をつかんだ。その配列をタンパク質のデータベースで調べたところ、人間の皮膚に存在するカビの仲間、マラセチア属の真菌の一種「グロボーサ」のものと一致した。

この配列を基にタンパク質を作り、アトピー性皮膚炎患者の血液に加えると、ヒスタミンが出てきた。健康な人ではこうしたアレルギー反応が起こらなかったため、このタンパク質が汗アレルギーの原因と結論づけた。

アトピー性皮膚炎は、特徴的な皮膚の変化とかゆみを伴う、慢性化する皮膚疾患。その悪化要因にはいくつかあるが、約80%の患者は汗に対するアレルギーがあり、肘の内側やひざの裏、顔、首といった汗のたまりやすい部位に湿疹が出やすいことから、汗は特に重要視されていたが、汗の中のどの成分が原因かは分かっていなかった。

汗でかゆいアトピー原因は皮膚のカビ
https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20130610_01/index.html

汗の痒み

アトピーの「汗の痒み」はカビが原因なの?

広島大学の研究結果では「汗の痒み」はカビが原因と発表しています。
それでは、本当にアトピーの「汗の痒み」はカビが原因なのでしょうか?

この研究結果を1つ1つ分析していきます。

この広島大学の研究結果は「ヒスタミン」をかゆみの元となる物質として考えています。
そのため、「ヒスタミン」がアトピーの痒みの原因の場合は、皮膚に付着している「カビ」が原因の可能性があると思います。

それでは、「ヒスタミン」はアトピーの痒みの原因なのでしょうか?

下記の記事でお伝えした通り、最新の医学では、アトピーの痒みは「ヒスタミン」ではないとされています。
痒くなるのは「ヒスタミン」が原因なの?

また、私も「ヒスタミン」がアトピーの痒みの原因ではないと考えています。

もし、ヒスタミンが痒みの原因だった場合、ステロイド剤を使った時のように、抗ヒスタミン剤を使っても、アトピーの痒みが消えるはずです。
しかし、私は以前、「抗ヒスタミン剤」を使ったことがありますが、痒みを抑えることができませんでした。

私の体験から考えても、アトピーの痒みは「ヒスタミン」が原因とは考えられません。

ヒスタミンがアトピーの痒みの原因だった場合は、汗の痒みは「皮膚のカビ」が原因の可能性があります。
しかし、最新の医学では、ヒスタミンはアトピーの痒みとは関係ないため、「皮膚のカビ」はアトピーの痒みとは関係がないと考えられます。

「抗ヒスタミン剤」で痒みを抑えることができない理由

上記でお伝えした通り、私は「抗ヒスタミン剤」を使っても、効果がありませんでした。

また、抗ヒスタミン剤が効かないのは、私だけではありません。
インターネットで「抗ヒスタミン剤 アトピー」などで検索すると分かりますが、抗ヒスタミン剤が効かないという記事や体験談はたくさん表示されます。

「小児科 坂田医院」のホームページから引用します。

外来では多くの子どもたちが痒みに悩んで来院されます。
特にじんま疹、アトピー性皮膚炎は頻度の多いものです。

それに対してかゆみ止めとしてよく用いられる内服薬は抗ヒスタミン剤となります。

抗ヒスタミン剤はアレルギー性鼻炎・結膜炎やじんま疹、虫アレルギーには効果的ですが、アトピー性皮膚炎や皮脂欠乏性湿疹など慢性的なかゆみには効いたという実感がほとんどありませんでした。

なぜアトピー性皮膚炎に抗ヒスタミン剤が効かないのか?
https://www.sakata-clinic.com/post/

少し専門的になりますが、「抗ヒスタミン剤」が効かない理由も、同じページに説明がありますので、引用します。

かゆみは皮膚についた異物を排除し皮膚の恒常性を保つために備わった免疫反応の一つという見方ができるようです。

かゆみが脳に到達する流れを極めて簡単に整理すると

皮膚に刺激→皮膚に炎症が生じる(様々な免疫細胞、皮膚角化細胞(ケラチノサイト https://www.derm-hokudai.jp/textbook/pdf/1-01.pdf )などが活性化→かゆみのメディエーター産生)→抹消神経が受容体というものを介してメディエーターの刺激を受け取る→刺激がかゆみ信号として脳に伝達となります。

このメディエーターにはヒスタミンとヒスタミン以外の2つに大別されます。

非ヒスタミンメディエーターとして重要な物質にはサイトカイン(IL-31、4R、13など https://www.amed.go.jp/news/release_20170109.html )やプロテアーゼと言われるものがあります。

神経受容体にも色々な種類がありますが、こちらもヒスタミンの刺激を受け取るものと非ヒスタミンから刺激を受け取るものの2種類に大別できるのだそうです。

じんま疹などはヒスタミン、アトピー性皮膚炎のかゆみには非ヒスタミンメディエーターの関与が大きいそうです。

そのためにアトピーでは抗ヒスタミン剤が効きにくく、外用ステロイドや保湿剤によるスキンケアで皮膚の炎症を抑えることでかゆみを抑えていかなければならないというわけです。

なぜアトピー性皮膚炎に抗ヒスタミン剤が効かないのか?
https://www.sakata-clinic.com/post/

この記事に書いてある通り、現在の医学では、痒みには「ヒスタミン」と「ヒスタミン以外」のメディエーター(細胞から細胞への情報伝達に使われる化学物質)があります。

そして、アトピーの痒みに使われているメディエーターは、ヒスタミンではありません。

ヒスタミンがアトピーの痒みを起こしている訳ではないため、抗ヒスタミン剤を使っても、アトピーの痒みを止めることができないのです。

まとめ

アトピーの痒みの原因は、現在の医学では「ヒスタミン」ではありません。
そのため、皮膚についているカビが「ヒスタミン」に反応をしたとしても、アトピーの痒みに繋がる訳ではありません。

そのため、アトピーの汗で痒くなるのは、皮膚についているカビが原因ではないと考えられます。

もちろん、カビにアレルギー反応を起こす人もいますので、体質によっては、カビにアレルギー反応を起こして痒くなる方もいると思います。

しかし、それ以外の方は、皮膚に付着しているカビが原因で痒くなる事はありません。

ちなみに、皮膚には誰でもカビが付着しています。
付着している人と付着していない人がいるのではありません。

アトピーの症状がでる人がいなかった大昔から、人間の皮膚にはカビが付着しているのです。

また、皮膚に付着しているカビは、取り除くことはできませんし、取り除く必要もありません。
アトピーの原因はカビではないので、皮膚に付着しているカビに関しては、気にしないで下さいね。

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