こんにちは。
アトピー研究家の齋藤です。
「アトピーは掻き癖が原因」という説があります。
癖で掻くことによって皮膚が悪化し、その結果、アトピーになるという説です。
それでは、アトピーは「掻き癖」が原因なのでしょうか?
このページでは「掻き癖がアトピーの原因なの?」というテーマについて、お伝えしていきます。
「掻き癖」について
医学的には「免疫細胞の過剰反応」が原因とされていますが、お医者様の中には「掻き癖」がアトピーの原因であると信じている方が多数いらっしゃいます。
2021年になって「アトピー性皮膚炎、実は依存症だった!」(稲葉葉一著)という本が発売されました。
買って読んでみたところ、「掻き癖」が原因でアトピーになる。
具体的には「掻き癖は一種の精神的依存症で、ストレスを感じると掻き始めるのがアトピーの原因」という内容でした。
最初に書いた通り、この本の著者に限らず、「掻き癖」が原因と考えているお医者様は多く、インターネットで調べても、「掻き癖を治すことが重要」とホームページなどで書いているお医者様はたくさんいらっしゃいます。
確かに、アトピー性皮膚炎でない方がアトピー性皮膚炎の方を観察すると、「掻き癖が原因なのでは?」と考えてしまうのも仕方がないことです。
この本に書いてある通り、ストレスがあれば掻いてしまいますし、私も痒くない時に、掻いてしまうこともあります。
小さなお子さんの場合、親に注目されたいために掻くこともあります。
それでは、「掻き癖」がアトピーの原因なのでしょうか?
私は「掻き癖」がアトピーの原因ではないと考えています。
その理由を、実際に「掻き癖」があった私の経験談を踏まえて、お伝えしたいと思います。
「精神的なストレス」が原因ではない理由
精神的なストレスが原因で「掻き癖」になることがアトピーの原因とするならば、精神的なストレスは誰にでもありますので、かなり多くの方がアトピーになるはずです。
しかし、アトピーではない方は、掻き癖があっても、皮膚が悪化することはありません。
その理由は、爪で掻いてひっかき傷ができても、翌日にはほとんど治ってしまうからです。
「掻き癖」で皮膚を毎日掻いたとしても、寝ている間に皮膚は大部分が元に戻ってしまうため、悪化しないのです。
また、そもそもアトピーではない方は「痒くない」ため、「掻き癖」で掻いたとしても、正常な皮膚を掻いています。
つまり、丈夫な皮膚を掻いているので、掻いても簡単に出血することはありません。
また、正常な皮膚を掻くと「痛み」を感じます。
そのため、血まみれになっても掻き続けるということがありません。
しかし、アトピーの方は「掻き癖」ができてしまうと、治らないのはなぜでしょう?
その理由は、皮膚に異常があり、皮膚がもろくなっているからです。
皮膚がもろくなっているため、痒い場所を掻くと、すぐに出血してしまいます。
掻くから出血するのではなく、皮膚がもろくなっているから出血するのです。
そして、掻くと気持ちがいいので、痒みが止まるまで、血まみれになっても掻き続けます。
正常な皮膚を掻けば、アトピーの方でも出血することはありませんし、掻くと痛いため、掻き続けることもありません。
また、掻き傷もすぐに治ってしまいますので、皮膚がそれほど悪化することもありません。
つまり、痒い場所はm、皮膚に異常がある場所です。
そして、皮膚に異常がある場所を掻くため、皮膚は簡単に元通りにならず、悪化していくのです。
それ以外にも理由があります。
「精神的なストレス」による掻き癖がアトピーの原因とするならば、なぜ、1965年以前はアトピーの患者がほとんどいなかったのかという説明がつきません。
「精神的なストレス」は時代や国籍を問わず、昔からあります。
子供や赤ちゃんの虐待が、時代や国籍を問わず、昔からある事から考えても、この点は明らかです。
1965年になってから、世界中で急に「精神的なストレス」が増えた訳ではありません。
「精神的なストレス」で痒くなったとしても、皮膚には自然治癒力がありますので、かき傷ができたとしても、翌日には皮膚が綺麗に回復するため、皮膚が悪化することはないのです。
アトピーの原因を「精神的なストレス」と結論づけるのは、かなり無理があります。
私は身体の機能低下によって、掻いても皮膚が治らなくなった事が「アトピーの原因」と考えています。
そして、1965年以前は「アトピーの原因」から遠ざかった生活をしている人がほどんどだったため、「掻き癖」があってもアトピーにならなかったのです。
「掻き癖」は治す必要があるの?
「精神的なストレス」は一旦置いておいて、ここでは「掻き癖」に焦点を当てて、書いていきたいと思います。
「掻き癖」は掻くと気持ちいいと感じる事から始まります。
掻くことが痛ければ「掻き癖」にはなりません。
「癖」というのは、どのような「癖」であったとしても、苦痛を感じるものは癖になりにくいです。
「気持ちいい」から癖になるのです。
アトピーの症状が消えていくと、悪化していた皮膚が丈夫な正常の皮膚に変わっていきます。
すると、痒みがどんどんと消えていきます。
痒みがない所を掻けば、掻くと「痛い」と感じるようになります。
掻くと痛ければ、掻き癖も自然になくなります。
アトピー性皮膚炎の方は「気持ちいい」から掻いているのであって、「痛い」のを我慢しながら掻いているのではないからです。
これは「掻き癖」のあるなしは関係ありません。
ちなみに、私も子供の頃は「掻き癖」があったため、端から見ると「掻き癖」が原因であると考えるのは、本当によく分かります。
しかし、「掻き癖」を治していないのに、アトピーが治りました。
毎日掻いていたのに、皮膚の症状が良くなるにつれて掻かなくなったのです。
アトピーにはいろいろな対症療法があります。
しかし、対症療法の指導者は「掻き癖」を治すことを指導していなくても、ほとんどの方はアトピーの症状が改善しているはずです。
その理由は「痒み」が消えていくにつれ、「掻き癖」も自然に消えていくからです。
アトピー性皮膚炎は「掻き癖」が原因であるとするならば、「痒み」が消えても「掻き癖」はなくならないはずです。
「癖」なので、掻き続けるはずです。
しかし、実際は「痒み」が消えれば「掻き癖」も一緒に消えていきます。
繰り返しますが「癖」は「気持ちいい」から癖になるのです。
正常な皮膚を掻くということは「痛み」を伴います。
どのような「癖」であったとしても、苦痛を感じるものは癖にはなりにくいのです。
アトピーの方が「掻き癖」で悪化するのは「痒み」がある時だけに限られます。
まとめると、皮膚に痒みがでるのは、皮膚に異常が発生しているからです。
そして、異常な皮膚を取り除こうとするため、掻くと「気持ちがいい」のです。
身体は「排泄は気持ちがいい」と感じるようにできているためです。
そのため、正常な皮膚に戻ると痒みがなくなります。
すると、今まで痒かった皮膚でも、掻くと「痛み」を感じるように変わります。
そのため、「掻き癖」があったとしても「痛み」を我慢してまで掻き続けることはなくなります。
つまり、自然に「掻き癖」がなくなるのです。
そのため、「掻き癖」そのものは治す必要は全くありません。
治さなければいけないのは「掻き癖」ではありません。
皮膚を治す力が弱まっている機能低下した身体なのです。
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