こんにちは。
アトピー研究家の齋藤です。
断食(だんじき)は、ファスティングとも呼ばれています。
いろいろな病気を改善する効果があるため、最近は断食に取り組む人が増えています。
もちろん、アトピーにも有効で、断食をするとアトピーの症状が改善します。
それでは、なぜ、断食をするとアトピーが改善するのでしょうか?
このページでは「断食をするとアトピーが改善する理由」についてお伝えします。
断食をするとアトピーが改善する4つの理由
私は本格的な断食を3回行っていますが、断食をする度にアトピーの症状は改善します。
これは、明らかな事実です。
「栄養不足がアトピーの原因」と断言している方もいるのに、エネルギーも栄養も不足する断食でアトピーの症状が改善するのは、不思議ですよね。
一般的には、老廃物や毒素が排泄される事でアトピーが改善すると言われています。
その場合は、長期間行えば、体内の老廃物や毒素が激減しますので、断食を辞めても再発しないはずですよね。
しかし、断食を辞めてしばらくすると、断食で改善した皮膚の症状が元に戻ってしまいます。
そのため、アトピーが改善する理由は、老廃物や毒素が排泄されるからではないと考えられます。
それでは、なぜ、断食をすることで、アトピーの症状が改善していくのでしょうか?
私は下記の4点が特に大きく関係していると考えています。
1点目・・・コルチゾールについて
断食をすると、副腎皮質ホルモンの「コルチゾール」の分泌量が増えていきます。
その理由は、食事からのエネルギー供給がなくなるため、血糖値が下がっていくからです。
そのため、血糖値を上げるホルモンの1つである「コルチゾール」の分泌量が増えていくのです。
ちなみに、「コルチゾール」は、アトピーと関係が深いホルモンの1つです。
抗炎症作用や免疫抑制の作用があるため、ステロイド剤として使われているホルモンだからです。
その「コルチゾール」が断食をはじめると、分泌量が増えていきます。
分かりやすく説明をすると、体内で「ステロイド剤」が増産されるようになるのです。
そのため、ステロイド剤を塗らなくても、塗っているのと同じ状態になります。
しかも、副作用はありません。
断食をすると、炎症が消えていき、綺麗な皮膚になるのは、毒素が排泄されるからではありません。
副腎皮質ホルモンの1つである「コルチゾール」の分泌が増えるからなのです。
つまり、断食にはステロイド剤を塗ったのと同じ効果があるのです。
2点目・・・オートファジー(自食作用)について
断食をすると、オートファジー(自食作用)が活性化されます。
オートファジーという言葉をはじめて聞いた方も多いと思いますが、オートファジーとはどのような作用なのでしょうか?
東京工業大学のホームページから引用します。
オートファジーは細胞が自らの細胞質成分(タンパク質、核酸や脂質など)や細胞小器官(ミトコンドリア、小胞体など)を分解し、それによって生じた代謝物を利用する仕組みであり、酵母からヒトにいたるまで真核生物に広く保存された分解経路である。
オートファジーが栄養ストレスを迅速に緩和する仕組みを解明
https://www.titech.ac.jp/news/2020/048444
なぜ、オートファジーが活性化されるのかがこの説明で分かります。
栄養不足になると、細胞の成分を分解し、その代謝物を栄養源として利用しているのです。
そして、身体の中の異常な細胞が最優先で分解されていきます。
断食をすると、癌をはじめとして、いろいろな病気が治る事があるのは、病気の元となっている細胞が分解されてしまうからなのです。
もちろん、アトピーの場合は、症状がでている皮膚の細胞が最初に分解されていきます。
そのため、アトピーの症状が改善していくのです。
3点目・・・成長ホルモンについて
断食をすると、成長ホルモンの分泌量が増えていきます。
その理由は、食事からのエネルギー供給がなくなるため、血糖値が下がっていくからです。
その結果、血糖値を上げるホルモンの1つである「成長ホルモン」の分泌量が増えていきます。
また、成長ホルモンには、皮膚の修復作用もあるため、皮膚が綺麗になっていくのです。
もちろん、皮膚を修復するためには、栄養もエネルギーも必要です。
栄養が足りなくなると、2点目で説明した「オートファジー」によって、供給されていきます。
それでは、エネルギーはどこから得ているのでしょうか?
その理由は、体内の脂肪をエネルギー源として使っているからです。
成長ホルモンには、脂肪の分解作用もあるのです。
つまり、脂肪という貯金を使うため、貯金が底をつかない限り、エネルギー不足にはならないのです。
そのため、悪化している皮膚が修復されていくのです。
4点目・・・免疫力について
断食を続けていると、体内エネルギーが不足します。
そして、エネルギー不足が続くと、免疫力が下がっていきます。
その結果、炎症や痒みを出すためのエネルギーもなくなっていきます。
「コルチゾール」にも免疫力を下げる作用がありますが、エネルギー不足も免疫力を下げる一因になります。
断食をすると、炎症が消えていく理由の1つは、免疫力が低下するためなのです。
ちなみに、断食をすると「免疫力が上がる」という説を唱えている方もいます。
しかし、免疫力を上げるためには、エネルギーが必要です。
加えて、体温も上げないといけません。
風邪の時に体温が上がるのは免疫力を上げるためです。
それでは、断食をすると体温は上がるのでしょうか?
これは、実際に行ってみると分かりますが、体温は下がります。
エネルギー不足により、体温を高く維持できないからです。
また、免疫力が上がると、痒みや炎症が強くなります。
しかし、断食をしても、痒みや炎症が強くなることはありません。
「体温が下がる」「痒みや炎症が消える」という2つの理由から、断食をすると「免疫力が下がる」事は間違いないと考えられます。
断食を終えると再発する4つの理由
断食をはじめると、私の場合は、3日を過ぎてから、少しずつ、皮膚の症状が改善していきました。
それでは、断食を辞めるとどうなるのでしょうか?
私は長期断食を3回行っています。
断食中は皮膚の症状は改善されましたが、断食を辞めてからしばらくすると、必ず、皮膚の状態は悪化していきます。
それでは、なぜ、断食をやめると症状が再発するのでしょうか?
その理由は、大きく分けると下記の4点が考えられます。
1点目・・・アトピーの原因がそのまま残っているため。
断食をしても、アトピーの原因がなくなる訳ではありません。
アトピーの原因はそのまま残っています。
対症療法を行っている間は、悪化を防ぐことができます。
しかし、対症療法を辞めた場合、抑えていた症状が再発します。
そして、断食は原因療法ではなく、対症療法の1つです。
断食を辞めると悪化するのは、アトピーだけではありません。
原因を排除しない限り、対症療法を辞めて時間が経つと、どのような病気でも再発するのです。
2点目・・・免疫力が上がるため。
断食をすると、エネルギー不足により、免疫力が下がります。
その結果、炎症や痒みが抑えられます。
しかし、食事を再開し、エネルギー不足が解消すると、免疫力が再び上がり始めます。
その結果、炎症や痒みも再発するようになるのです。
3点目・・・ホルモンの分泌量が減るため。
断食をすると、血糖値が下がるため、血糖値を上げるホルモンの分泌量が増えます。
血糖値を上げるホルモンには、抗炎症作用があるコルチゾールや皮膚の再生に必要な成長ホルモンが含まれています。
しかし、食事を再開すると、食事によって血糖値が上がりますので、血糖値を上げるホルモンの分泌量が減ります。
その結果、炎症が悪化し、皮膚の再生力が落ちるのです。
4点目・・・皮膚の治癒力が下がるため。
食事をすると、消化吸収の優先順位が高まり、治癒力の優先順位が下がります。
つまり、身体の悪いところを治すよりも、エネルギーの獲得を優先するようになるのです。
特に、断食後は、体内のエネルギー量が激減しています。
そのため、消化吸収に全力のエネルギーを使うようになります。
その結果、皮膚に供給するためのエネルギーが少なくなり、断食で皮膚が綺麗になったとしても、その綺麗な皮膚を維持することができなくなるのです。
まとめ
あくまでも、断食や小食でアトピーの症状が改善されるのは、一時的な効果しかありません。
また、脂肪という貯金を使いますので、貯金がなくなれば、身体を治す力もなくなり、最終的には餓死してしまいます。
また、太り気味の場合、ダイエットを兼ねて行いたいという方もいらっしゃると思いますが、断食を終えた後、猛烈な食欲が襲ってきますので、その食欲を抑えることは不可能に近いことです。
すぐにリバウンドしますので、断食のダイエット効果に対しても期待は禁物です。
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