こんにちは。
アトピー研究家の齋藤です。
高齢者にアトピーの方がいない事を不思議に思った事はないでしょうか?
このページでは「なぜ高齢者にアトピーはいないの?」という質問に対して、私の体験談を交えながらお答えしていきます。
アトピーの年齢による症状の違いについて
私はまだ高齢者ではないため、自分自身の体験談はありませんが、約50年間のアトピーの体験から年齢による症状の違いについてお伝えしたいと思います。
私は生後数ヶ月からアトピーの症状がでていました。
そのため、子供の頃のアトピーの症状から50代のアトピーの症状まで体験をしています。
赤ちゃんや子供の頃は、アトピーの症状が強くでます。
しかも、スピードが早く、一気に悪化する事が多いです。
掻き始めると、血液がでるまで掻きむしりますので、ほとんどの場所は、たった一日でびっくりするほど悪化します。
もちろん、顔も掻きむしるので、すぐにお化けのように顔が真っ赤になっていました。
そして、症状がでる場所が広がっていくスピードも比較的早いです。
それに比べて、40代になってから再発した時は、非常にゆっくりでした。
綺麗な皮膚からアトピーの症状がでるまで、数ヶ月はかかりました。
一度完治してから、甘い物を食べて故意に悪化させる実験もしましたが、わざと悪化させようとしても、なかなか悪化しないのです。
40代になると、アトピーの症状を出すのも簡単ではありません。
恐らく、70代になれば、アトピーの症状を出そうと頑張っても、数週間は発症しない可能性が高いです。
まとめると、アトピーの症状は、年齢が若ければ若いほど、症状が出やすく、症状が出始めると、一気に悪化します。
逆に、年齢が高くなればなるほど、アトピーになりにくくなり、症状がでる場合でも非常にゆっくりになります。
高齢になるとアトピーが発症しにくい理由
それでは、なぜ、高齢になればなるほど、アトピーの症状はでにくくなるのでしょうか?
その大きな理由は「新陳代謝」のスピードが遅くなったからです。
皮膚の新陳代謝のスピード(皮膚のターンオーバー)は、年齢によってかなり違います。
「カロンクリニックコラム」のホームページから引用します。
一般的に28日周期と言われるターンオーバー。
実は年齢によって肌の生まれ変わりサイクルは異なり、皆さんの年齢×1.5で計算ができると言われています。
参考数値として、20代では約18日、30代では約40日、40代では約55日…と、年齢によってだいぶ長くなります。
【池袋 美容皮膚科】カロンクリニックコラム のホームページより引用
https://kalonclinic.jp/blog/308/
このホームページを参考に、年齢×1.5で計算をすると、70代では約105日、80代では約120日、90代では約135日という事になります。
皮膚の新陳代謝が遅くなると、アトピーになりやすい生活習慣を送っても、すぐに症状がでてくる事はありません。
また、アトピーを発症させるには、長期間、アトピーになりやすい生活を続けないといけません。
しかし、高齢者の場合、今までと同じ安定した生活をする方がほとんどです。
そのため、一時的に、アトピーになりやすい生活習慣を送ったとしても、アトピーが発症する前に、元通りの生活習慣に戻ります。
これが、高齢になればなるほど、アトピーの症状がでにくくなる大きな理由です。
ちなみに、新陳代謝が遅くなるのは「老化によるエネルギーの低下」が原因です。
新陳代謝のスピードの低下は、老化で表れる症状の1つに過ぎません。
高齢になるとアトピーの症状がでにくくなる「根本的な理由」は、老化によるエネルギーの低下なのです。
高齢になると痒みがでにくくなる理由
アトピーの症状は、炎症と共に「痒み」があるのが特徴です。
そして、「痒み」がでてくるのは、免疫機能がしっかりと働いているからです。
ステロイド剤を塗ると、アトピーの痒みがすぐに消えていくのは、ステロイド剤には「免疫を抑制する作用」があるからです。
炎症がでている皮膚は、正常な皮膚ではありません。
つまり、異常が発生している皮膚になります。
免疫細胞は「異常な皮膚」を取り除くために、痒みを発生させます。
しかし、高齢になり、免疫力が落ちていくと、痒みを発生させる事が難しくなるのです。
それでは、高齢になると免疫力は、どれくらい落ちていくのでしょう?
これは「免疫力 年齢」などで検索をするとすぐに調べることができます。
免疫力は思春期である10代がピークになります。
そして、20歳を過ぎると、少しずつ免疫力が落ちていきます。
40代になると、ピークの50%になります。
そして、70代になると、ピークの10%まで落ちてしまうのです。
グラフではこのような感じになります。
※東京予防医療クリニックのホームページより引用
https://www.tokyo-yobo.com/inspection/immunity
高齢者の免疫力がどれだけ低下しているかが、このグラフを見ると一目瞭然で分かります。
そして、免疫力の低下に比例して、痒みの発生も低下していきます。
これが、高齢者になると、痒みがでにくくなる理由です。
高齢者のアトピーがこれから増加していく理由
高齢になるとアトピーの症状が表れにくくなることを上記でお伝えしました。
しかし、「高齢者 アトピー」で検索すると分かりますが、最近では高齢者でも、アトピーの症状がでている方が増えているそうです。
つまり、昭和や平成時代の常識が、令和になり、当てはまらなくなってきているのです。
ちなみに、アトピーの常識が当てはまらなくなったのは、過去にもありました。
昭和40年代には「アトピーは大きくなれば治る」と言われたり、「大人になるとアトピーは発症しない」と言われていました。
しかし、昭和50年代になると、大人になってもアトピーの症状が発症する方が増えたため、昭和40年代のアトピーの常識は通用しなくなりました。
つまり、「アトピーの常識」は時代によって変わるのです。
それではなぜ、令和になり、高齢者でもアトピーの症状がでるようになったのでしょうか?
昭和でも平成でも令和でも、老化により体内のエネルギーが低下している高齢者の生活は、それほど変わっていないはずです。
その理由について、私の見解をお伝えしたいと思います。
それは、下記の記事に詳しく書きましたが、幼少期の生活が関係あるのです。
なぜ、アトピーは治らない病気になったの?
アトピーの患者が増えてきたのは1965年からです。
この点から考えると、1960年前後から、幼少期にアトピーになりやすい生活を送る方が増えてきたと考えられます。
大人になってから、アトピーになるかならないかの違いは、身体ができあがっていない幼少期の生活で決まります。
1960年以前にアトピーになる人がいなかったのは、幼少期にアトピーにならない生活を送っていたため、大人になってからも、アトピーにならない体質に成長したのです。
逆に、幼少期にアトピーになりやすい生活を送っていると、アトピーになりやすい体質に成長してしまい、それは高齢者になっても変わらないのです。
1960年以降に生まれた方は、これから高齢者になっていきます。
そのため、今後は高齢者でもアトピーになる方が増えていく可能性が高いです。
そして、「アトピーに高齢者はいない」という常識は過去のものになりつつあるのです。
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