こんにちは。
アトピー研究家の齋藤です。
アトピーは「汚れた血液」が原因という説があります。
東洋医学では「瘀血(おけつ)」と呼ばれています。
それでは、血液が汚れているから、アトピーが発症するのでしょうか?
このページでは「アトピーは汚れた血液が原因?」という疑問にお答えしていきます。
汚れた血液「汚血」とは?
アトピーは「汚れた血液」が原因であるという説は、昔からあります。
例えば、断食をすると、アトピーの症状が消えていくのは「汚れた血液が綺麗になるから」と書いてある本はたくさんあります。
また、食事療法の指導者の多くも「アトピーは汚れた血液が原因なので、食事を改善することでアトピーは治る」と説明をしています。
最近では、「アトピー、アレルギー、乾癬 皮膚病の原因は汚血にある」(蔡 篤俊著)という本が発売されました。
実際に購入して読んでみたところ、「汚血」の原因について書いてありましたので、第一章の中にある「皮膚の異常は体からの要注意信号」から引用します。
疲れやストレス、体が異物ととらえる食べものに使われている防腐剤、化学調味料、食品添加物、車の排気ガスなどを、子どもの頃から時間をかけて少しずつためて、許容量いっぱいに近づきつつある時でもあります。その老廃物は体に悪影響を与えるものです。血液で全身に運ぶので、私は毒を含んだ汚血ととらえています。
まとめると「汚血の原因は、防腐剤、化学調味料、食品添加物、車の排気ガスであり、子どもの頃から蓄積されてきたものが許容量に近づいた時にアトピーが発症する」という事です。
「汚れた血液」がアトピーの原因であるというのは、東洋医学では昔から言われていることですし、皮膚には血液が流れていますので、説得力がありますよね。
「皮膚に流れている血液が汚れているから、皮膚に異常が発生し、アトピーになる。」と説明されると、ほとんどの方がうなずいて、納得されると思います。
それでは、「汚血」がアトピーの原因なのでしょうか?
これから、一つ一つ、検証していきたいと思います。
大人の「汚血」とアトピーについて
「アトピー、アレルギー、乾癬 皮膚病の原因は汚血にある」(蔡 篤俊著)によると、防腐剤、化学調味料、食品添加物、車の排気ガスが蓄積された事が汚血の原因と説明されています。
確かに、アトピーの患者が増えてきた頃から、防腐剤や化学調味料、食品添加物などが増えてきたイメージがありますよね。
ちなみに、防腐剤は食品添加物の一種です。
化学調味料は自主的に使うか使わないかの違いはありますが、この記事では「食品添加物」の一種として考えて下さい。
それでは、食品添加物の蓄積は本当にアトピーの原因なのでしょうか?
この答えは、下記の記事を書いた時に、詳しく検証しています。
食品添加物がアトピーの原因なの?
この記事を読むと分かりますが、食品添加物とアトピーの因果関係は全くありません。
日本では戦後、食品添加物の毒性が問題になったため、1965年頃からは食品添加物の安全性が高まりました。
しかし、食品添加物の毒性が高かった1965年までは、アトピーの患者がいなかったのです。
それどころか、食品添加物の安全性が高まった1965年から、アトピーの患者が増え続けているのです。
また、食品添加物を日本より多く摂取しているフィリピンやタイでは、アトピーの患者が日本より多いはずですが、食品添加物を多量に摂っているにもかかわらず、アトピーになる人はいないのです。
それでは、大気汚染はどうなのでしょうか?
こちらも、下記の記事を書いた時に、詳しく検証をしています。
大気汚染がアトピーの原因なの?
この記事を読むと分かりますが、公害が起きるほど大気汚染が酷かった地域は、アトピーの患者が激増するはずですが、実際の所は、アトピーの患者はいませんでした。
それでは、自動車の排ガスは関係あるのでしょうか?
日本のデータを見ると、自動車の普及とアトピーの患者数の増加は一致しています。
このデータだけを見ると、「自動車の排ガス説」は説得力がありますよね。
しかし、日本のデータだけを見ていては、検証不足です。
海外ではどうなのでしょうか?
ネパールのカトマンズは世界でナンバーワンを争っているほど、自動車の排気ガスによる大気汚染が酷い都市です。
私も実際に訪れた事がありますが、外出して帰ってきた後に、顔をティッシュで拭くと、ティッシュが排ガスのススで黒くなるほどです。
鼻をかむと、ティッシュに黒い鼻水が付くほど、大気が自動車の排ガスで汚れています。
これは、カトマンズは盆地なので、車の排ガスが他の場所に流れていくことがないため、長年の排ガスが蓄積されているのです。
それでは、カトマンズはアトピーの人がたくさんいるのかと言うと、全くいないのです。
自動車の排ガスが酷い都市と言えば、他にもタイのバンコクやフィリピンのマニラなどがありますが、この都市にも、アトピーの患者はいなかったのです。
つまり、大気汚染がアトピーの原因と言えば、日本人の多くの人は納得するかもしれませんが、実際に検証をしてみると分かる通り、自動車の排ガスや大気汚染とアトピーは、全く因果関係がないのです。
赤ちゃんや子どもの「汚血」について
「アトピー、アレルギー、乾癬 皮膚病の原因は汚血にある」(蔡 篤俊著)によると、アトピーが発症するのは「子どもの頃から時間をかけて少しずつためて、許容量いっぱいに近づきつつある時でもあります。」と説明が書いてあります。
それでは、食品添加物を摂取していない赤ちゃんや子どもにはアトピーは発症しないのでしょうか?
私の場合、生後数ヶ月でアトピーが発症しています。
母乳しか飲んでいない時に、アトピーが発症していますので、この点から考えても、汚血が原因とは言えません。
許容量がいっぱいになるには、何年も時間がかかるためです。
しかし、お母さんが添加物が多い食事など「身体に悪いものを食べていれば、生まれてくる赤ちゃんはアトピーになる」と食事療法を指導されている方は多いですよね。
それでは、お母さんが添加物を一切摂らなければ、アトピーにならないのでしょうか?
今は、生まれてくる子どもがアトピーにならないように、妊娠前から添加物など、身体に悪い物を極力食べないように食事療法をされているお母さんは実際に多いです。
もちろん、生まれてからも、母乳に悪影響がでないように、しっかりと食事療法をされている方も多いです。
それにも関わらず、食事療法をして、悪い物を全く食べていないはずなのに、生まれてきた子どもがアトピーになったという母親の体験談は多いです。
逆に、車の排ガスをたくさん吸い込み、食品添加物を多く摂取しているタイのバンコクのお母様や、フィリピンのマニラのお母様の子どもたちは、アトピーになっていないのです。
食品添加物や車の排ガスが汚血の原因の場合、バンコクやマニラに住んでいる人々は、赤ちゃんから大人まで、ほとんどの方が重傷の汚血になりますが、それでもアトピーは発症しないのです。
この点から考えても、アトピーが発症するのは、汚血が原因でない事が分かります。
肉食について
蔡 篤俊先生の本には書いてありませんが、食事療法の指導者の方々は「肉食は血液を汚す」と説明をしている方が多いです。
調べてみたところ、牛肉や豚肉など赤身の肉や加工肉を食べている方は、ガンや糖尿病などのリスクが上がるというエビデンスがありました。
ガンや糖尿病などのリスクが上がるということは、肉食をすると内蔵機能が低下するということです。
内蔵機能が低下すると、消化能力や解毒能力が低下し、血液をしっかりと浄化することができなくなりますので、肉食は血液を汚すということは、ほぼ間違いないと考えられます。
それでは、肉食はアトピーの原因になるのでしょうか?
この答えは「1人あたりの肉の消費が多い国」を調べると分かります。
2016年の記事になりますが、全日空(ANA)のサイトに掲載されていた「世界で一番牛肉を食べるのはどこの国?」より引用します。
1位 ウルグアイ
2位 アルゼンチン
3位 パラグアイ
4位 アメリカ
5位 ブラジル
6位 オーストラリア
7位 イスラエル
8位 カナダ
9位 カザフスタン
10位 チリ
・・・・・・
22位 日本
もし、肉食がアトピーの原因になる場合、ウルグアイやアルゼンチン、パラグアイは、アトピーの発症率が非常に高いという事になります。
しかし、ウルグアイもアルゼンチンもパラグアイも、アトピーの発症率はかなり低い国の中に入ります。
この点から考えると、肉食とアトピーの因果関係はありません。
日本は1965年以前と比較すると、肉をよく食べるようになりましたが、それでも、1位のウルグアイと比較すると、7分の1です。
肉をたくさん食べるようになったから、アトピーが発症したという説は、肉食は健康的ではないイメージがありますので、確かに説得力があります。
しかし、実際の所は、日本人の7倍も多く牛肉を食べているウルグアイ人よりも、日本人の方がアトピーの発症率が高いのです。
つまり、肉をたくさん食べても、アトピーにはならないのです。
まとめ
アトピーは「汚れた血液」が原因である。
と説明を受ければ、ほとんどの方は、うなずいて、納得すると思います。
しかし、上記に記載した通り、実際に検証してみると「汚れた血液」がアトピーになるという証拠は1つもありません。
つまり、医学で重要視されている「エビデンス」は全くないのです。
ただ、汚れた血液はアトピーの原因でないからといっても、食品添加物をたくさん食べてもいいかというとそうではありません。
食品添加物は身体にとって毒になるものも多いですので、たくさん摂取すると、消化器官が解毒できなくなり、痒くなったり、アトピーが悪化する場合も多いと思います。
そのため、食品添加物は、できるだけ摂取しないようにして下さい。
また、肉食に関しても、食べると痒くなる方は多いと思います。
健康な方でも、肉をたくさん食べると、ガンや糖尿病のリスクが高まるというエビデンスもあります。
そのため、肉食は、アトピーの有無に関わらず、あまり食べない方がいいのです。
まとめると、食品添加物も車の排気ガスも肉食も、アトピーの原因ではありません。
しかし、アトピーの有無に関わらず、健康を害するものであることは間違いないため、できるだけ避けた方が無難です。
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