こんにちは。
アトピー研究家の齋藤です。
アトピー性皮膚炎関係の本を読んでいると、食品添加物に加えて「アトピーは大気汚染も原因の1つ」と説明している本がいくつかあります。
それでは、アトピーと大気汚染は関係があるのでしょうか?
このページでは「大気汚染がアトピーの原因なの?」という質問について、お伝えしていきます。
工場の大気汚染について
大気汚染と言えば、最初に「工場の排煙」を思い浮かべる方が多いと思います。
それでは、「工場の排煙」はアトピーと関係があるのでしょうか?
「工場の排煙」が原因の病気で有名なのは「四日市ぜんそく」があります。
戦前から戦後期にかけては「川崎ぜんそく」もあります。
工場の排煙に関しては、「ぜんそく」との因果関係がありますが、これは空気中から取り込んだ有害物質が原因です。
それでは、ぜんそくになるほど大気汚染が酷い地域では、アトピーの患者は多いのでしょうか?
アトピーの患者が増え始めたのは、1965年からになります。
川崎ぜんそくの場合は、戦前から戦後期になりますので、その頃はアトピーの患者がいなかった時代の病気になります。
四日市ぜんそくの場合は、1959年から1972年になりますが、四日市市でアトピーの患者数が増えたというデータは見つかりませんでした。
また、現在は、大気汚染防止法により、工場からの排煙はかなり綺麗になっています。
しかし、それにも関わらず、アトピー性皮膚炎の患者数は増えています。
そのため、日本の工場の排煙が原因の大気汚染に関しては、アトピーの発症との因果関係はないと考えられます。
自動車の排ガスについて
工場からの排煙による大気汚染がアトピーの発症率との因果関係がない事が分かりましたが、大気汚染の原因は工場だけではありません。
自動車も大気汚染の原因の1つです。
それでは、自動車の普及がアトピーと関係があるのでしょうか?
日本で自動車が普及し始めたのは、1965年からになります。
それ以降は右肩上がりで増え続けています。
この自動車の普及率とアトピーの発症率は、ほぼ比例します。
日本でアトピーの患者が増え始めたのは、1965年からになります。
そして、それ以降は、増え続けているからです。
ただ、自動車の排ガスは、日本では規制が厳しくなっているため、1965年と比較すると、現在は比較にならないほど綺麗になっています。
そのため、現在は自動車による大気汚染は、自動車の台数が増えている事を考慮しても、1965年よりも酷くない可能性もあります。
特定の有害物質に絞れば、大気汚染の度合いとアトピーの発症率の関係を調べることは可能かもしれません。
しかし、大気汚染が原因と書いてある書籍には、どの有害物質がアトピーの原因となっているのかは書いていないのです。
そのため、自動車による大気汚染とアトピーの因果関係に関しては、日本国内のデータでは調べることができませんでした。
そのため、私が訪れた事がある排ガスが酷かった場所を例にして、検証していきたいと思います。
今まで訪れた都市の中で一番酷かった場所はネパールのカトマンズです。
ネパールと言えば、エベレストの綺麗な山や綺麗な空気をイメージする方が多いと思いますが、首都であるカトマンズは別です。
日本のように排ガス対策が全くされていないため、自動車が黒いススをまき散らして走っているのです。
どれくらい酷い状況かというと、外出してホテルに戻って顔をティッシュで拭くと、ティッシュが黒くなります。
そして、鼻をかむと、ティッシュに黒い鼻水が付くのです。
これは、黒いススを呼吸で大量に吸い込んでいる事を意味します。
また、カトマンズは盆地のため、排ガスが他の地域に流れていくことはありません。
そのため、カトマンズの市街地を少し離れた所から見ると、大気が黒くなっている事が分かるほど、大気が汚染されているのです。
それでは、大気汚染が日本よりも何倍も酷い状況であるカトマンズではアトピーの方は多いでしょうか?
私が訪れた1995年では、アトピーの方は全くいませんでした。
それから20年以上経った現在でも、アトピーの方はいないのです。
この状況から考えると、自動車による大気汚染がアトピーの原因とはとても言えません。
また、私が訪れた都市の中では、タイのバンコクも大気汚染が酷かったです。
バンコクには「トゥクトゥク」という三輪タクシーがあります。
この「トゥクトゥク」の排ガスも排ガス規制がないためか、黒いススをまき散らして走っています。
それに加えて、自動車の渋滞が非常に酷く、日本とは比較ができないほど、排ガスで空気が汚染されているのです。
カトマンズと比べると、まだましですが、それでも、鼻をかむと、ティッシュが黒くなるほど、大気が汚染されていたのです。
それでは、バンコクにアトピーの方は多いのでしょうか?
私が訪れた1995年では、アトピーの方はいませんでした。
そして、20年以上経った現在でも、アトピーの方はほとんどいないのです。
日本は排ガス規制が厳しいことと、新しい自動車ばかり走っていますので、自動車による排気ガスは本当に綺麗です。
発展途上国は、日本と比較にならないほど、自動車による大気汚染が悪化している国や街がたくさんあります。
しかし、大気汚染が問題になっている国や街でも、アトピーの患者がほとんどいない場合も多い事を考慮すると、アトピーの原因は大気汚染ではないと断言できると思います。
もし、大気汚染がアトピーの原因の場合、大気汚染の度合いに比例して、アトピーの患者数が増えていくはずですが、そのようなデータは全くないのです。
複合的な要因について
工場の大気汚染や自動車の大気汚染に関しては、しっかりと検証をすると、アトピーの原因ではない事が分かります。
しかし、大気汚染と食品添加物など、アトピーは「複合的な要因」で発症するという説もあります。
その場合、大気汚染が酷く、食品添加物の摂取量が多い所では、アトピーの発症率が増えることになります。
私が訪れた都市では、マニラとバンコクが該当します。
マニラは「ジプニー」、バンコクは「トゥクトゥク」と呼ばれる車が黒いススをまき散らして走っています。
そして、マニラもバンコクも人々の添加物の摂取量が非常に多いです。
それでは、自動車による大気汚染が酷く、食品添加物の摂取量が多いマニラやバンコクでは、アトピーの患者は多いのでしょうか?
私が訪れた時は、バンコクもマニラも、アトピーの人はいませんでした。
日本よりも大気汚染が何倍も酷く、食品添加物の摂取量も多い都市でも、アトピーの発症率は、ほぼ0%だったのです。
PM2.5について
日本の工場がある場所の周辺でアトピーの発症率が増加する訳ではないため、日本の工場による大気汚染はアトピーの原因にはなりません。
しかし、大気汚染には中国から飛来する「PM2.5」もあります。
「PM2.5」とは、直径が2.5マイクロメートル以下の微粒子の事を指します。
スギ花粉の10分の1以下の大きさですので、もちろん肉眼では見えません。
燃焼で生じたススや、自動車の排ガス、工場や建設現場の粉塵などがPM2.5の微粒子になります。
中国から飛来する場合は、日本の広範囲にPM2.5が届くため、PM2.5が原因と考えている方もいます。
それでは、PM2.5はアトピーの原因になる可能性はあるのでしょうか?
まずは、いつ頃から中国からPM2.5が飛来し始めたのかを調べてみました。
すると、はっきりと飛来した事が分かるのは、2013年からでした。
日本でアトピーの患者数が増え始めたのは、1965年からになりますので、PM2.5が飛来する約50年前から、アトピーの発症率は増えているのです。
この点から考えると、中国から飛来するPM2.5が日本に届いていなくても、アトピーは発症している事になります。
それでは、PM2.5が多い国では、アトピーの発症率は高いのでしょうか?
WHOの2018年のPM2.5の年間平均濃度データを引用します。
1位 ネパール
2位 カタール
3位 サウジアラビア
4位 エジプト
5位 ニジェール
6位 バーレーン
7位 インド
8位 カメルーン
9位 イラク
10位 アフガニスタン15位 中国
65位 タイ
73位 韓国
159位 日本
ネパールは訪れた事がありますが、首都のカトマンズの大気汚染は本当に酷いので、1位である事は実感としてよく分かります。
しかし、ネパールはアトピーになる人がいないのです。
また、7位のインドも、アトピーになる人がいません。
このデータから考えると、PM2.5はアトピーの発症率との因果関係はありませんでした。
そのため、中国から飛来しているPM2.5に関しても、日本のアトピーの発症率との因果関係は全くないと考えられます。
まとめ
「大気汚染がアトピーの原因である。」と説明をすれば、日本では自動車の普及につれて、アトピーの患者数が増加してしまうので、納得してしまう方は多いと思います。
しかし、海外のデータをしっかりと検証してみると、大気汚染はアトピーの発症との因果関係は全くない事が分かりました。
自動車の大気汚染が酷いカトマンズやバンコクなどの都市部では、黒いススが皮膚に付着しますが、それでもアトピーの発症率は上がらないのです。
また、日本でアトピーの症状が発症していた方が、マニラやバンコクに行くと、アトピーの症状が消えたというブログの記事もたくさんあります。
大気汚染が酷い都市に行くことで、アトピーの症状が消える場合があるという事を考えても、大気汚染がアトピーの原因ではない事は確かだと思います。
ちなみに、日本にずっと住んでいると実感が沸きませんが、2018年のPM2.5の年間平均濃度データを見れば分かる通り、日本はトップクラスで空気が綺麗な国になります。
PM2.5の飛来がニュースになったりするため、大気汚染が酷くなったようなイメージがありますが、他の国と比較すると、日本のPM2.5は非常に少ないのです。
日本は海に囲まれている事もあり、他国の影響は最小限で済んでいます。
また、大気汚染防止法や厳しい排ガス規制のため、日本の空気はそれほど汚染される事がなく、綺麗なまま保たれているのです。
コメント
夜遅くに失礼します
一昨日からアトピーについて調べて先ほどこちらのサイトに辿り着きました
書いてある事みな腑に落ちます
少し気になった事があります
日本で原発が稼働しだしたのが1963年
そしてPM2.5=2.5マイクロメートル以下というのは放射能も当てはまります
コメントありがとうございます。
現在、アトピーの根本的な原因を解説する本を執筆していますので、ブログの更新ができていなくて申し訳ないです。
(ブログの記事をそのまま本にすると、amazonでは販売できないみたいです。)
結論から言うと、原発とアトピーは関係がありません。
もし、原発が関係する場合は、原発がたくさんある福島県や福井県はアトピーの患者が圧倒的に多くなるはずですが、そのようなデータはありません。
原発とアトピーの関係を調べるのは、本当に簡単です。
原発がある県のアトピーの患者数を他の県と比較してみて下さいね。
本は今年中にamazonで電子出版する予定ですので、本の販売が開始されたら、このブログでお知らせします。
2019年に日本各地で放射線量が急激に上がった時が有ります
その中に沖縄も含まれているんですが沖縄に原発は無いはず
噂の地下原発⁉︎
一応リンクを貼っておきます
https://blog.goo.ne.jp/adoi/e/237a741ecf0a5bb0cdba2f3776c16d9b
それはさておき書いてある事が事実だから出版出来ないのでしょうか
製薬会社などからしたら都合悪い?笑
出版楽しみにしていますね♪
リンク確認しました。
原発がない場所で放射線量が上がっていますので、自然現象ですね。
地下原発は日本にはないと思います。
ブログで書いてしまうと、amazonで出版ができないのは著作権などの問題みたいです。
今は写真集しか出版していませんが、下記に追加されますので楽しみにしていて下さいね!
著作一覧
ゴールデンウィーク中にも、1つ写真集を出版します。