こんにちは。
アトピー研究家の齋藤です。
アトピーの原因は水道水に含まれる「塩素」が原因という説があります。
それでは、アトピー性皮膚炎が発症するのは「塩素」が原因なのでしょうか?
このページでは「アトピーは塩素が原因?」という質問にお答えしていきます。
塩素について
日本の塩素濃度について調べてみると、日本の塩素濃度は世界一高いという記事をインターネットでも書籍でも、たくさん見つけることができます。
インターネットでは、塩素濃度を調査した方が、日本の塩素濃度はアメリカの10倍高いという報告をしている方もいます。
それでは、「日本以外の国」の塩素濃度はどれくらいなのでしょうか?
先進国の中で塩素濃度が高い国を調べてみたところ、アメリカが一番で、2番がシンガポール、3番がカナダでした。
この3カ国を除けば、塩素濃度はほとんどゼロに近くなります。
日本の塩素濃度がアメリカの約10倍であるならば、日本の水道水は、世界でダントツに高い塩素濃度であることが分かります。
塩素の影響について
塩素は皮膚や髪の毛のタンパク質を破壊します。
そのため、水道水で髪の毛を洗うと、髪の毛がパサパサになったり、皮膚の保湿能力が失われてカサカサの肌になってしまいます。
これは、アトピーの方に限らず、健康な方でも同じです。
ただ、浄水器で塩素を取り除くことができます。
また、お風呂に関しては、アスコルビン酸(ビタミンC)を少し入れるだけで、塩素が中和されますので、簡単に対策をすることができます。
塩素がアトピーの原因なの?
日本は世界一塩素濃度が高いから、塩素がアトピーの原因であるという説は、書籍でもインターネットの記事でも、いくつか見かけます。
それでは、塩素がアトピーの原因なのでしょうか?
浄水器で対策をすればアトピーにならないの?
まずは、私の体験からお伝えしたいと思います。
私は20代の頃から、飲料水はすべてミネラルウォーターか浄水器を通した水を飲んでいます。
そのため、塩素の経口摂取は20年以上ありません。
そして、35歳以降は、入浴に関しては、常に塩素を中和する分量のアスコルビン酸をお風呂に入れています。
また、シャワーに関しては、塩素の除去装置を通した水で浴びています。
そのため、手を洗う以外は、塩素の悪影響がない生活を10年以上続けてきました。
そして、それは、現在でも続いています。
塩素がアトピーの原因である場合は、私の場合は発症しない事になります。
しかし、私は45歳の時に、アトピーが再発したのです。
私の体験から考えると、塩素がアトピーの原因ではないと言えます。
浄水器の普及率とアトピーの有病率について
アトピーの原因が塩素の場合、浄水器が普及するにつれて、アトピーの有病率は減っていくことになります。
これは、日本での浄水器の普及率のデータとアトピーの有病率のデータを比較すれば、すぐに分かります。
まずは、日本浄水器協会のデータから引用します。
1965年初頭:浄水器の水道水利用が始まる。
1971~72年:年間販売台数が100万台を超え、第一次ブームの到来。
1981~84年:浄水器の需要が徐々に増え、第二次ブームの到来。84年には年間販売台数が135万台を突破。
1985~90年:空梅雨・水不足に伴う水源の水質悪化で「水がまずい」という声が広まり、浄水器の需要が急増。第三次ブームの到来。引用:浄水器協会年表
https://www.jwpa.or.jp/nenpyo.htm
このデータから分かる通り、1965年から日本では浄水器の使用が始まりました。
そして、1970年代から1980年代にかけて、浄水器が日本全国で普及していったのです。
それでは、アトピーの有病率の推移はどのようになっているのでしょうか?
厚生労働省のデータから引用します。
年次 各年 10月の調査日現在 ICDコード 推計患者数
(単位:千人)受療率
(人口10万対)総患者数
(単位:千人)総数 入院 外来 入院 外来 小 昭和59年 20.3 0.1 20.2 0 17 … 昭和59年~平成5年
691 「おむつかぶれ・おむつ皮膚炎」を含む(分類が異なるため、年次比較はできない)昭和62年 28.5 0.1 28.4 0 23 224 平成2年 28.2 0.2 28.0 0 23 235 平成5年 33.7 0.4 33.3 0 27 283 平成8年 36.3 0.4 35.9 0 28 318 平成8年~
L20平成11年 44.3 0.5 43.8 0 35 399 平成14年 29.5 0.2 29.3 0 23 279 引用:厚生労働省 傷病別年次推移表
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/02syoubyo/1-1b8.html
1965年までは、日本でアトピー性皮膚炎が発症する人はいませんでした。
そのため、下記のような推移になります。
昭和40年(1965年)・・・0人
昭和59年(1984年)・・・約2万人
昭和62年(1987年)・・・約2万8千人
平成5年(1993年)・・・約3万3千人
このように、1980年代でかなり増えています。
1980年代と言えば、日本で浄水器が普及した時期と重なります。
つまり、浄水器の普及が進むにつれて、アトピー性皮膚炎になる人が増えているのです。
この点から考えると、アトピーの原因が塩素とは考えにくいです。
とは言え、シャワーやお風呂で使う水まで浄水器を通した水を使っている方は少ないと思います。
そのため、シャワーやお風呂で使う水の塩素が原因という可能性は残ります。
それでは、水道水に塩素が入っていない国ではアトピーは発症しないのでしょうか?
水道水に塩素がない国のアトピーの発症率
水道水に塩素が全く入っていない国の1つに「オランダ」があります。
もちろん、シャワーやお風呂で使う水にも塩素が含まれていません。
そのため、オランダのアトピーの発症率がほぼ皆無の場合、塩素がアトピーの原因と言えるかもしれません。
それでは、オランダのアトピーの発症率は、ほぼゼロに近いのでしょうか?
PubMedという医療系サイトで調べてみたところ、オランダのアトピーの有病率は全体で2.3%、6歳未満では11.3%と記載されていました。
ちなみに、6歳未満の11.3%は、日本と匹敵するほど高い発症率になります。
水道水に塩素が使われていない国でもアトピーは、日本と同様に発症するのです。
オランダのデータから分かる通り、水道水に塩素が全く含まれていなくても、アトピーは発症します。
つまり、水道水に含まれる塩素はアトピーの原因ではないのです。
まとめ
アトピーの原因は水道水に含まれる塩素であるという説は、水道水に塩素が含まれていない国でも、アトピーの発症率は日本と変わらない事から、この説は間違いである事が明らかになりました。
私の場合は、塩素を取り除いた生活を15年以上送っているにも関わらず、アトピーが再発しましたし、私と同じように、アトピーが改善しない方は、たくさんいます。
また、「塩素を取り除いてアトピーが治った!」という体験談がありますが、治った本人は「塩素」が原因と思い込んでいるだけで、本当は違う要素が原因の場合が多いのです。
ただ、塩素がタンパク質を破壊するのは事実です。
丈夫な皮膚の場合は、塩素でダメージを受けても、一晩寝れば回復しますので、塩素によるダメージはそれほど大きくはありません。
しかし、アトピーの症状が発症している場合、皮膚が薄くて脆くなっています。
そして、塩素でダメージを受けてしまうと、皮膚の再生能力が低くなっているため、なかなか皮膚が回復しません。
また、塩素で皮膚が突っ張ったり、痒みの原因になったりしますので、塩素で皮膚が悪化してしまう可能性が非常に高いです。
塩素対策は、シャワーには浄水ヘッドをつけたり、入浴する時は、お風呂の水にアスコルビン酸(ビタミンC)を入れるだけで、簡単に対策をすることができます。
塩素がアトピーの原因ではありませんので、塩素対策をしただけでは、アトピーを完全に治すことはできません。
しかし、塩素対策をするだけでも、皮膚へのダメージはかなり抑える事ができますし、皮膚の再生能力が高い方の場合は、皮膚の状態も改善すると思います。
アスコルビン酸は、アマゾンなどで購入できますが、1000円程度で何ヶ月も使えるほど費用対効果は高いので、塩素対策をされていない方は、是非、対策をしてみてくださいね。
また、塩素の除去をしているのに、アトピーの症状がなかなか良くならないと悩んでいる方も多いと思いますが、この記事がその悩みの解決になると幸いです。
コメント