こんにちは。
アトピー研究家の齋藤です。
「脱ステ」という言葉をご存じでしょうか?
「脱ステロイド」の略で、ステロイド剤を使っていた方がステロイド剤を辞める事を言います。
それでは、「脱ステ」をすると、どうなるのでしょう?
このページでは「ステロイド剤を辞めるとどうなるの?」というご質問にお答えしていきます。
「脱ステ」をする人が増えた理由
1990年代には、ステロイド剤の副作用が大きな問題になりました。
そして、ステロイド剤を使うことを辞める人が増えたため、かなり症状が悪化する人が続出したのです。
その背景には、「アトピーが悪化したのはステロイド剤の副作用が原因なので、ステロイド剤を塗るのを辞めると、アトピーは改善する」と勘違いをしていた方が多かった事が原因です。
アトピーが悪化したのは、ステロイド剤が原因ではありません。
ステロイド剤を塗らなくても、アトピーの症状は悪化します。
また、アトピーが発症したのは、ステロイド剤を塗ったからではありません。
アトピーが発症したから、ステロイド剤を塗ったのです。
ステロイド剤を辞めると、ステロイド剤の副作用のリスクはなくなりますが、薬の影響がない「純粋なアトピー」が消える訳ではありません。
この根本的な部分を勘違いしている方が多かったため、ステロイドを辞める人が続出したのです。
そして、アトピーの症状を大幅に悪化させる人が増えたのです。
「脱ステ」をするとどうなるの?
実際に「脱ステ」をするとどうなるのでしょうか?
まず、大きなリバウンドの症状がでてきます。
具体的には、今までステロイド剤で抑えていた炎症が抑えられなくなります。
そのため、炎症が次から次へとでてきます。
ステロイド剤の血管収縮作用がなくなりますので、血管は拡張して、患部が真っ赤になります。
そして、免疫を抑制していた事で抑えていた痒みが復活し、尋常ではない痒みが襲ってきます。
そのため、掻いたところは血だらけになり、掻き傷でいっぱいになります。
また、免疫を抑制していたため、免疫力が非常に弱く、とびひなどの感染症になりやすくなります。
「脱ステ」をする場合、このような症状が次々と現れてくることを覚悟の上で、行わないといけないのです。
そして、痒みを抑えることはほぼ不可能に近い事も覚えておかないといけません。
尋常ではない痒みに耐えられる人は、ほとんどいないからです。
もし、尋常ではない精神力を発揮して、痒みに耐えたとしても、寝ている間に掻いてしまいますので、症状の悪化は避けられません。
また、30歳くらいまでは、顔に症状がでる事が非常に多いです。
顔に症状がある場合、血管が拡張しますので、顔が真っ赤になり、掻き傷がたくさんでき、掻いた直後は血だらけになります。
この状態では、誰とも顔を合わしたくないと思います。
また、症状が酷い時は、授業中もずっと掻いていることになりますし、もちろん、授業に集中することもできません。
仕事の場合は、接客業はできませんし、事務職でも仕事に集中できませんので、周りに迷惑をかけてしまいます。
私は顔の症状が酷くても、学校や仕事に行っていましたが、周りの人に迷惑をかけていたと思いますので、申し訳ないことをしてしまったと思っています。
私の経験から考えても、特に顔に症状が強くでている時は、学校や仕事に行くことはお勧めできません。
また、免疫力が落ちているため、感染症にかかりやすい事から考えても、自己流で「脱ステ」を行う事もお勧めできません。
「脱ステ」は気軽に行えるものではないのです。
また、自己流で「脱ステ」を行った場合、アトピーは悪化する一方で、改善する可能性が低いです。
その理由は、ステロイド剤を辞めた後の大きなリバウンドの乗り越え方が分からないからです。
そして、ステロイド剤を辞めた後に訪れるリバウンドを乗り越える事ができたとしても、アトピーは改善する訳ではありません。
ステロイド剤を塗らなくても、アトピーが発症する事から分かる通り、次には薬の影響がない「純粋なアトピー」を治さないといけないからです。
そして、多くの人は「食事療法」を始めます。
もちろん、「食事療法」は悪い訳ではありませんし、実際に効果はあります。
食事療法をすると、体の負担が減りますので、アトピーの症状が改善される事が多いからです。
しかし、続けていると、負荷が減った事に体が慣れてしまい、少しでも負荷が上がると、アトピーの症状が悪化してしまう事がよくあります。
そのため、食べられないものがどんどんと増えていってしまう結果になる事が多いのです。
ステロイド剤は使い続けてもいいの?
「脱ステ」をすると、地獄のような苦しみが待っていますので、私はあまりお勧めできません。
それでは、ステロイド剤を使い続ければいいのか?
という質問がでてくると思いますが、これは薬に対する考え方によって変わります。
お医者様の中には「上手に使えばステロイド剤の副作用は出ない」と断言されている方もいます。
「上手に使えば、ステロイド剤の副作用がでないのだったら、一生、ステロイド剤を上手に使い続ければいい。」という事になります。
上手に使えば、一生副作用が出ないのですから。。。
しかし、私は「いくら上手に使っても、ステロイド剤の副作用は出る」と考えています。
その理由は、どのような薬でも、主作用と副作用の2種類があるからです。
病院のホームページにも記載されていますが、副作用が全くない薬はありません。
もちろん、ステロイド剤も例外ではありません。
「上手に使えば副作用が出ない」というのは間違いで、「上手に使えば副作用が小さい」というのが正解のはずです。
また、私の経験から言えば、副作用がどれだけ出るかは、体質によって変わります。
副作用が大きくでる体質の方がほとんどですが、あまり副作用がでない体質の方も小数ですが、実際にいます。
そのため、同じようにステロイド剤を塗ったとしても、副作用が強く出る方とあまり副作用がでない方がいるのです。
そして、「ステロイド剤を塗って治りました!」というような症例写真にでてくるような人は、あまり副作用がでなかった方なのです。
余談になりますが、私の母親は癌になった時に、抗がん剤や放射線治療を何度も行っていますが、癌の治療にはつきものの強烈な痛みや苦しみが、ほとんどでることはありませんでした。
もちろん、副作用はでているはずなのですが、あまり強くでない体質だったみたいです。
とは言え、私の母親は「例外」であり、通常は、副作用が強くでるのが当たり前です。
そして、副作用が強く出るかそれほどでないかは、実際にその薬を使ってみなければ分からないのです。
ステロイド剤を使えば、大なり小なり副作用は出ます。
そして、例外もあるかもしれませんが、通常は長期になればなるほど、副作用は強くなります。
そのため、副作用がでる事を理解した上で、一生、痒みはステロイド剤で抑えていくという考えがある場合は、ステロイド剤を使い続けてもいいと思います。
しかし、「副作用が出ない」という事を信じている場合は、副作用がはっきりと出た時に精神的なショックが大きいと思いますので、「使い続けると、副作用が出る場合がありますよ」と何らかのアドバイスをしてあげた方がいいと思います。
副作用がはっきりとでていない時点でしたら、選択肢はいくつかあるからです。
ただ、ステロイド剤を愛用されている方には「ステロイド剤を使わない方がいい」というアドバイスはしない方がいいと思います。
副作用が出る事を認識して使っている場合は、その方の考え方を尊重しないといけないからです。
ステロイド剤を使いたくない方はどうすればいいの?
ステロイド剤の副作用を認識している方の場合、「ステロイド剤の副作用がでることは耐えられない」という考えを持っている方も多いと思います。
その場合は、ステロイド剤は使わない方がいいと思います。
とは言え、ただ単にステロイド剤を辞めるだけでは、アトピーの症状は悪化する一方ですし、感染症にかかる危険性も高いため、アトピーに詳しい方の元で行った方が無難です。
そして、脱ステをすると同時に、原因療法を始める事がお勧めです。
「脱ステ」の大きなリバウンドを乗り越えて、ステロイド剤の副作用から脱却することができたとしても、その次は薬の影響がない「純粋なアトピー」に苦しめられることになります。
純粋なアトピーも、脱ステと同じように強敵です。
そう簡単にはアトピーの症状は改善しません。
その時に、原因療法をしていなければ、ずっと「純粋なアトピー」に苦しめられる事になるからです。
そのため、「脱ステ」をする場合は、原因療法をするなど、アトピーの症状が改善できる事を一緒にする必要があるのです。
ただ単に「脱ステ」をするだけでは、アトピーの症状は悪化するだけで、感染症にかかるリスクも高いため、その点には気をつけて下さいね。
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