こんにちは。
アトピー研究家の齋藤です。
アトピーの症状の1つに「赤ら顔」があります。
赤ら顔は「酒さ」とも呼ばれています。
このページではアトピーが原因の「赤ら顔の原因」について、私の体験談を交えながら、お伝えしていきます。
「赤ら顔」の症状について
アトピーの症状がある方は「赤ら顔」で悩んでいる方は多いと思います。
どのような状態かというと、なかなか白い皮膚に戻らず、長期間、顔が赤くなった状態が続いている状態のことです。
それでは、なぜ、顔が赤くなった状態が続くのでしょうか?
実は、私も赤ら顔で悩んでいた時期がありました。
最初に赤ら顔になったのは、小学生や中学生の時ですが、その頃は顔にアトピーの症状が強くでていたため、赤ら顔の症状がでていても、赤ら顔で悩んだ事はありません。
顔の痒みや掻きむしった事による皮膚の悪化の方が重大な問題だったからです。
しかし、40代になって、アトピーの症状が再発した時は「赤ら顔」の症状に悩まされました。
なぜかというと、顔に痒みがなく、顔を掻くこともないため、顔の皮膚が悪化していないからです。
症状がでている時と違って、綺麗な皮膚なのに、顔が赤くなっていると目立つのです。
そのため、「赤ら顔」を治すにはどうすればいいのか、研究を始めました。
まず、「赤ら顔」の症状ですが、24時間ずっと赤いままではありません。
睡眠をしっかり取った後は、白い皮膚になっています。
そして、活動を始めると、徐々に赤くなっていきます。
また、入浴をした後は、赤みが強くなります。
そして、時間が経つとじわじわと長時間かけて少しずつ戻っていきます。
つまり、赤ら顔の症状が強くでるのは、身体が温まった時が中心になります。
そして、睡眠中など、体温が下がっていくと、白い皮膚に戻っていくのです。
また、夏でも冬でも赤ら顔の症状はでていましたので、気温は特に関係がありませんでした。
あくまでも「体温」が大きく関係しているのです。
それでは、なぜ「赤ら顔」になるのでしょうか?
「赤ら顔」と毛細血管について
赤ら顔について調べてみると「表皮の毛細血管が拡張している場合に赤ら顔になる」と書いてある記事が多いです。
それでは、赤ら顔は「毛細血管が拡張している事」が原因でしょうか?
毛細血管について調べると分かりますが、毛細血管の血流は、毛細血管の入り口にある「前毛細血管括約筋」が調節しています。
そして、「前毛細血管括約筋」が収縮すると、毛細血管に流れる血液の量が減ります。
逆に、「前毛細血管括約筋」が弛緩すると、毛細血管に流れる血液の量が増えていきます。
毛細血管には血管を収縮したり拡張したりする筋肉(平滑筋)がないため、毛細血管の入り口にある「前毛細血管括約筋」が毛細血管に流れる血液の量を調節しているのです。
つまり、毛細血管が拡張しているといっても、毛細血管に筋肉があり、拡張しているのではありません。
毛細血管の入り口にある「前毛細血管括約筋」が収縮することができなくなり、緩みっぱなしになった結果、毛細血管に流れる血液の量を減らすことができなくなり、赤ら顔の症状がでるのです。
それでは、なぜ収縮することができなくなったのでしょう?
その理由は、毛細血管の入り口にある「前毛細血管括約筋」の筋肉が衰えてしまったからです。
例えば、入浴をすると体温が上がり、「前毛細血管括約筋」が緩みます。
そのため、毛細血管への血流が増えて、毛細血管が拡張します。
そして、入浴が終わり、体温が下がっていくと「前毛細血管括約筋」が収縮し、毛細血管への血液の量を減らします。
その結果、白い肌に戻ることができます。
しかし、「前毛細血管括約筋」の筋肉が衰えていれば、ギュッと一気に収縮することができず、緩んだままの状態が続きます。
少しずつしか収縮することができないため、白い肌に戻るには通常の何倍もの時間がかかるのです。
また、上記の項目で、アトピーの症状がでていない時は、入浴をして毛細血管が拡張していても、赤ら顔にならなかった事をお伝えしました。
その理由は、アトピーの症状がでていない時は「前毛細血管括約筋」の筋力が衰えていないため、入浴時でも完全に弛緩することがないからです。
逆に、アトピーの症状がある方が赤ら顔になるのは、「前毛細血管括約筋」の筋力が衰えているため、体温が下がっても、100%拡張したままの状態が長時間続き、毛細血管がなかなか収縮しないからなのです。
「赤ら顔」と血管について
赤ら顔は「毛細血管の拡張」が原因と言われていますが、私は毛細血管だけではないと考えています。
というのは、赤ら顔になっている時は、ミミズのような血管が浮き出てくる事があるからです。
肉眼で見えている血管は、毛細血管ではありません。
毛細血管は髪の毛の10分の1の大きさですので、例え、拡張したとしても、肉眼で見えるほどの太さにはならないからです。
そのため、肉眼で見えているのは、表皮にある「拡張した静脈」になります。
静脈も拡張している事を考えると、毛細血管の前後にある細動脈と細静脈も拡張しているはずです。
細動脈と細静脈には、静脈と同じように平滑筋がありますので、血管自体が血管を収縮したり拡張したりすることができます。
しかし、平滑筋の筋肉も衰えていれば、拡張した後は、なかなか収縮をすることができません。
まとめると、赤ら顔の根本的な原因は、毛細血管の拡張だけではなく「血管全体の筋肉の衰え」の可能性が非常に高いのです。
赤ら顔は治すことができるの?
アトピーの症状が出始めると、少しずつ身体の機能低下が始まります。
代表的な具体的な例を書くと。。。
1 消化器官の機能低下が始まるため、食べると痒くなるものが増えていきます。
2 体温調節機能も弱まり、身体が冷えやすくなります。
3 睡眠も深い睡眠が取れなくなり、浅くなったりします。
それだけではなく、身体の機能低下は血管の筋肉(平滑筋)にも及ぶのです。
そのため、アトピーの症状が進行すると、血管の筋肉も衰えてしまい、血管の収縮に時間がかかるようになり、赤ら顔の症状がでてしまうのです。
それでは、赤ら顔を治すことはできるのでしょうか?
赤ら顔の根本的な原因は、アトピーの症状が悪化した事です。
そのため、アトピーの根本的な原因を解消すれば、赤ら顔は治すことができます。
つまり、アトピーの原因療法をすることで、赤ら顔は治すことができるのです。
ただ、皮膚の状態がかなり悪化している方は、かなり時間がかかる可能性があります。
私の場合は、痒みがなくなり、皮膚が綺麗になった後に、赤ら顔の状態が改善されていきました。
皮膚の状態が悪化しているということは、それだけ表皮の血管の状態も悪化しているということだからです。
個人差はもちろんあると思いますが、赤ら顔が治る時間は、皮膚の状態に比例します。
時間はかかりますが、薬を使わなくても、血管の筋肉の衰えを回復させることで、赤ら顔の症状を消すことはできますので、赤ら顔の症状で悩んでいる方は、安心して下さいね。
「赤ら顔」とステロイド剤の関係について
上記で説明したのは、アトピーの症状が進行した時の事です。
しかし、ステロイド剤の副作用で、赤ら顔の症状がでている方は非常に多いです。
炎症がでた場所に、初めてステロイド剤を塗ると、赤くなっていた皮膚が翌日には白くなります。
これは、ステロイド剤の血管収縮作用で炎症が起きている部分の血管や「前毛細血管括約筋」が収縮したからです。
それではなぜ、ステロイド剤を塗ると、血管を収縮する筋肉が衰えているにも関わらず、収縮することができるようになるのでしょうか?
これは、ステロイド剤は筋肉増強剤でもあるからです。
筋肉にエネルギーを送り込み、筋肉を増強することができるからです。
筋肉と言えば、手や足の筋肉を思い浮かべがちですが、血管の筋肉も同じです。
しかし、その翌日には少しずつ赤みが戻ってきます。
ドーピング効果は一時的にしか続かないのです。
もちろん、効果が切れた後、再度、ステロイド剤を塗れば、また白い皮膚に戻すことができます。
しかし、私も経験していますが、ステロイド剤は塗れば塗るほど、白い皮膚に戻らなくなってきます。
その理由は、疲れ切った筋肉に無理強いさせて、収縮させていれば、筋肉が動かなくなるからです。
疲れ切った筋肉にいくら薬を塗っても、筋肉には収縮する力がもう残っていないのです。
分かりやすく説明をすると、血管が収縮するのは、手をグーにしてギュッと握るのと同じです。
ずっと握り続けて入れば、筋肉が疲れてしまいます。
そして、筋肉が疲れきってしまえば、いくらストロイド剤を塗っても、疲れ切った筋肉は動くことができず、収縮することができなくなってしまうのです。
そして、顔にその状態がでているのが「赤ら顔」になります。
血管の筋肉が疲れ切ってしまい、収縮することができず、拡張したままになっているのです。
これがステロイド剤を塗ることで、赤ら顔になる理由です。
「赤ら顔」とカフェインについて
カフェインには、血管の収縮作用がありますので、コーヒーなどのカフェイン飲料を飲むと、赤ら顔の症状が一時的に消えたりします。
また、海外ではカフェイン飲料が赤ら顔の予防になるという研究結果もでています。
これも、カフェインの血管収縮作用によるものです。
その一方で、「カフェイン」が原因の赤ら顔もあります。
カフェインには血管の収縮作用があるはずなのに、正反対の症状がでるのはおかしいですよね。
これは、ステロイド剤を塗り続けた時に、赤ら顔になるのと同じ原理です。
カフェインを飲むと血管が収縮します。
しかし、飲み続けていると、血管を収縮する筋肉が疲れきって、収縮できなくなってしまうのです。
そして、疲れ切った筋肉は弛緩してしまい、血管が最大限拡張してしまうのです。
これが、コーヒーなどのカフェイン飲料を飲み続けると、赤ら顔になってしまう理由です。
ただ、カフェイン飲料を飲み続けても、全員が赤ら顔にはなる訳ではありません。
血管を収縮する筋肉が強ければ、毎日カフェイン飲料を飲んでも、その筋肉が疲れ切ってしまう事がないからです。
また、規則正しい生活をして、十分な睡眠をとっていれば、筋肉を休ませることができるため、収縮できなくなるほど、筋肉が疲れ切ってしまう事もありません。
とは言え、筋肉は個人差が非常に大きいです。
そのため、少しカフェイン飲料を飲んだだけで、簡単に赤ら顔になってしまう人もいれば、カフェイン飲料を飲み続けても、赤ら顔にならない人もいます。
そのため、カフェイン飲料を毎日飲んでいる方で赤ら顔になっている方は、カフェイン飲料が原因で赤ら顔になっている可能性がありますので、少しずつ、カフェインの摂取量を減らしていきましょう。
特に、コーヒーはカフェインの吸収量が非常に多いため、コーヒーを紅茶にするだけでも、カフェインの摂取量を抑えることができます。
そして、十分な睡眠をとって、血管の筋肉を休ませることも大切です。
睡眠時間は減らさないようにして下さいね。
コメント
はじめまして。
先月より皮膚の炎症(特にアトピー性皮膚炎)について調べている中で御記事に出会い、他記事も含め大変興味深く読ませていただいております。
私は肌を健やかに美しく保つための安心・安全な製品をお伝えする身でありながら、アトピー性皮膚炎に悩まれる方のお肌について深く学ぶことがなかったことを反省しはじめたことがきっかけです。
自分自身はアレルギー体質ですが、それによる症状としては鼻炎と喘息が主です。
子供の頃の耳鼻科通いおよび成人になって発症した喘息についても投薬による対症療法を繰り返すばかりの現状に疲れ、現在では症状が出た場合も放置し、苦しい時期(特に春頃)が過ぎるのを待つようにしてすごしております。
理由は、なるべくケミカルなものを身体に入れたくないという氣持ちが勝っているからです。
「炎症は正常な防衛反応」という認識なので、身体の反応を全て受け容れるしかないと考え、症状が出ている時は体感的に辛いですが耐えて過ごしています。
このたびの約3年間にわたる世界的な騒動を通して、氣づき、学んだことも大きかったと思っています(救急医療を除く西洋医学の治療に対する多くの疑問が多数…)。
私の場合はアレルギー体質ではありますが、これまで皮膚の症状にはあまり悩まされることのない人生でした(夜中の喘息発作で「死ぬかも?」とは幾度も思いましたが…)。
ご批判覚悟でお伝えしますと、「私の喘息もシンドイけど、顔に炎症が出てるアトピー性皮膚炎の方はもっともっと辛いんだから!何のこれしき!」という氣持ちで耐えてきたところがあります。
女性にとって、いや男性にとっても肌(お顔)の炎症のために何かに対して積極的になれなかったことがたくさんあったであろうことは想像に難くありません。
やはり「見た目」に現れる症状は社会生活をする上でも辛いと思いますし、学生時代にアトピー性皮膚炎で悩む友達をみてきて常にそう感じていました。
自己紹介が長くなりましたが、質問があります。
アトピー性皮膚炎による「炎症後色素沈着」は実際にありますが、「ステロイド軟膏を使用することで起こる副作用の色素沈着」については、資料によってはその存在が否定されているのを見かけます。
齊藤さまの記事に書いてある「赤ら顔」のメカニズムも含め、結局ステロイド軟膏による副作用が色素沈着(←肌が赤黒い色や赤紫色になる)の原因として存在するのかどうかを教えていただきたいと思っています。
よろしくお願いいたします。
今井様、コメントありがとうございました。
また、自己紹介もありがとうございます。
色素沈着ですが、説明すると長くなるため、また記事として書きますね。
今月中にはアップしたいと思いますので、よろしくお願い致します。