こんにちは。
アトピー研究家の齋藤です。
アトピーの症状がでている時に「甘い物」を食べると痒くなりますよね。
それでは、砂糖などの「甘い物」がアトピーの原因なのでしょうか?
このページでは「砂糖などの甘い物がアトピーの原因なの?」という質問について、お伝えしていきます。
砂糖の歴史について
「甘い物」と言っても、種類はたくさんありますが、昔から使われてきたものに「砂糖」があります。
日本では「奈良時代」から使われてきたそうです。
今から約1200年も前から、日本では砂糖が使われてきたのです。
しかし、砂糖は高級品だったため、手に入れることができるのは上級階級の人たちだけでした。
一般庶民が砂糖を手にすることができるようになったのは、明治時代になってからなのです。
今から約150年前になります。
日本人の砂糖の摂取量とアトピーの関係
日本では明治時代から一般庶民に砂糖が手に入るようになりましたが、砂糖は高価な事もあり、当時は日常的なものではなかったため、晴れの日に和菓子を食べる程度でした。
砂糖の摂取量が飛躍的に伸びたのが戦後になります。
砂糖の1人あたりの消費量は、1962年には約16キロ、1970年代には、約30キロに増えています。
日本では、1965年からアトピー性皮膚炎の患者が増えていますので、砂糖の消費量とアトピー性皮膚炎の患者の割合は、ほぼ一致します。
その後、砂糖の消費量は減ってきていますが、清涼飲料水の原材料を見ると分かる通り、砂糖が「果糖ブドウ糖液糖」などに置き換わっています。
つまり、砂糖の消費量が減っても、糖質の消費量が減った訳ではありません。
また、「果糖ブドウ糖液糖」を摂取すると、砂糖よりも痒くなります。
このデータだけを見ると、「甘い物」がアトピーの原因のように見えます。
また、甘い物がアトピーの原因と考えている方は、このデータを元にしていると思います。
それでは、日本よりも砂糖の消費量が多い国はどうなのでしょうか?
世界一の砂糖消費国のアトピーの発症率は?
「砂糖」などの甘い物がアトピーの原因の場合、日本より砂糖の摂取量が多い国は、日本よりもアトピーの発症率が高くなるはずです。
私は今までに40ヶ国以上の国を訪れていますが、その中でも、砂糖の摂取量が非常に多いと思った国は「インド」です。
日本では喉が渇くと「お茶」を飲みますが、インドでは「チャイ」を飲みます。
「チャイ」は「紅茶」のことですが、日本の紅茶とは全く違います。
日本の紅茶は透明感がありますが、インドのチャイには透明感がありません。
コップにチャイを入れると、コップの底は見えません。
コップの底が見えなくなるほど、チャイの中には茶葉やミルクと共に、大量の砂糖が溶け込んでいるのです。
そのため、一口飲むだけでも分かるほど、とにかく甘いのです。
チャイがどのような飲み物かを体験したい方は、インド料理店でチャイを頼んでみて下さい。
日本人向けに甘さは控えめになっていますが、チャイを体験することができます。
ちなみに、日本人がインドに行けば、必ず虫歯になると言われています。
私はインドには6週間滞在しましたが、私も例に漏れず、虫歯になって帰国しました。
もちろん、チャイを毎日飲むことで、大量の砂糖を摂取したことが原因です。
この大量に砂糖が溶け込んでいるチャイをインドの全国民が飲んでいます。
また、甘い物はチャイだけではありません。
インドの「チャイ屋」さんはお菓子も売っていますが、そのお菓子が激甘なのです。
余談ですが「世界一甘いお菓子」もインドにあります。
普通のお菓子でも甘いので、日本人は食べられないかもしれませんね。
それでは、インドの砂糖の消費量はどれくらい多いのでしょうか?
インドと砂糖の関係について調べてみたところ、なんと、インドは世界一の砂糖生産国であり、しかも、世界一の砂糖消費国だったのです。
日本人がお茶を飲むように、インド人は「チャイ」を飲んでいますので、インド人は日本人よりも砂糖の摂取量が何倍も多いのです。
なぜそれほど砂糖を摂取するのかと言えば、インドではカロリー摂取の手段として砂糖が使われているからなのです。
それでは、インドではアトピー性皮膚炎の患者が多いのでしょうか?
私は実際にインドに6週間滞在していますが、アトピーの方を1人も見ていません。
世界一の砂糖消費国のインドには、本当にアトピーの方がいないのです。
もちろん、私の経験だけではなく、データ上でもインドのアトピーの発症率は、世界的に見ても最も低い国の1つです。
もし、甘い物がアトピーの原因という場合、砂糖の消費量が世界で最も多いインドのアトピーの発症率は世界で1位争いをするはずです。
しかし、実際はその逆です。
なぜインド人が毎日大量の砂糖を摂っていてもアトピーにならないのか?
その理由は「砂糖がアトピーの原因ではない」から、アトピーにならないだけなのです。
「砂糖」などの甘い物はアトピーの根本的な原因ではないのです。
インドにいるとアトピーにならない理由
甘い物を食べると痒くなったり、アトピーの症状が悪化することは事実です。
そのため、アトピーの原因は「甘い物」であると考えてしまいがちです。
しかし、客観的に、砂糖の摂取量の多い国のアトピーの発症率を調べると、甘い物がアトピーの原因ではないことが分かります。
砂糖などの甘い物の消費量とアトピーの発症率が全く比例しないからです。
もちろん、「砂糖の消費量が多いインド人は遺伝子が違う!」という反論もあるかもしれません。
しかし、私はインドに6週間滞在しましたが、アトピーになりませんでした。
日本人であり、アトピーの症状が出やすい遺伝子を持っている私が、虫歯になるほどインドで大量の砂糖を毎日摂っていても、アトピーにはならなかったのです。
また、インドに旅行をしているバックパッカーは、物価が安いこともあり、長期滞在者が非常に多いのですが、アジア人、欧米人問わず、インドでアトピーになる人は1人もいませんでした。
もちろん、インドを旅行するバックパッカーは毎日、チャイを何杯も飲みますので、砂糖を大量に摂っています。
もし、砂糖がアトピーの原因の場合、インドを旅行するバックパッカーは虫歯になるだけではなく、アトピーの症状が発症して帰国するはずです。
しかし、インドで大量に砂糖を摂取しても、虫歯になるだけで、誰もアトピーになることはないのです。
インドを旅行するバックパッカーがアトピーにならないのは、アトピーにならない遺伝子を持っているからではありません。
インドに行けば「アトピーの原因」から遠ざかった生活をするからです。
そして、アトピーの症状がでやすい遺伝子を持っている私でも、インドに滞在している時は「アトピーの原因」から遠ざかった生活をしていたため、虫歯になるほど大量の砂糖を毎日摂っていても、アトピーにならなかったのです。
1人あたりの砂糖消費量が世界一の国のアトピー有病率
世界一の砂糖消費国はインドですが、1人あたりの砂糖消費が世界一の国は、2020年のデータによると「マレーシア」です。
ちなみに、2位はブラジル、3位はキューバになります。
それでは、マレーシア、ブラジル、キューバは、アトピー性皮膚炎の有病率は高いのでしょうか?
これは、下記の地図を見るとすぐに分かります。
アトピー性皮膚炎の年齢標準化有病率(10万人あたり)
※青い部分は低い有病率、赤い部分は高い有病率
引用元:The global burden of atopic dermatitis: lessons from the Global Burden of Disease Study 1990–2017
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/bjd.19580
この地図を見ると分かる通り、インドはもとより、マレーシアもブラジルもキューバもアトピーの有病率は非常に低い国に入ります。
砂糖の消費量の多い国の方が、アトピーの有病率は低いのです。
まとめ
砂糖などを含む甘い物を食べると痒くなることが多いため、アトピーは「砂糖」が原因と考えている方は多いと思います。
確かに、お菓子を一切食べない食事制限をすると、痒みを大幅に抑える事ができます。
しかし、何年も食事制限をしているにも関わらず、アトピーが完治しない方も多いのが現状です。
食事制限には痒みを抑える効果しかなく、アトピーを治す効果はありません。
また、砂糖が原因の場合、食事制限をすればアトピーが完治するはずですが、実際はそうではありません。
インド人は大量に砂糖を摂っているにも関わらず、誰もアトピーになりません。
また、1人あたりの砂糖消費量が世界一のマレーシアも、アトピーの有病率は非常に低い国の1つです。
この事実から分かる通り、砂糖の摂取量とアトピーの発症率には因果関係がありません。
つまり、砂糖はアトピーの原因ではないのです。
ただし、砂糖を摂ると痒くなりますし、アトピーの症状は確実に悪化します。
また、アトピーの有無を問わず、砂糖の摂りすぎは健康に良くないため、できる限り、砂糖の摂取は控えるようにして下さいね。
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